
レトロでモダンな山の温泉・雲仙と、潮風と夕日に抱かれた海の温泉・小浜。湯けむりが立ちのぼる秋色の山道を気ままに歩いたあとは、絶景露天で旅の疲れをそっとほどいて。ひとりだからこそ楽しめる癒しの紅葉と温泉時間を満喫。

長崎空港から諫早行きリムジンバスで約40分、諫早駅前ターミナル下車。雲仙行きの路線バスに乗り換えて約90分、雲仙お山の情報館下車
博多駅から西九州新幹線で約70分、諫早駅下車、諫早駅前から島鉄バス雲仙行きで約90分、雲仙お山の情報館下車
小浜ターミナルから諫早行きのバス(片道1000円、1時間に1〜2本程度の運行)に乗車、約1時間で諫早着。空港行きリムジンバス(片道670円、1時間に1〜2本程度の運行)で40分、長崎空港着。


長崎空港と雲仙・小浜を結ぶバスは本数が少ないので事前にチェックしておこう。雲仙・小浜間の路線バスも1時間に1本程度、急ぐ場合はタクシーが便利(5000円前後目安)。国立公園内の雲仙温泉街や白雲の池周辺は、散策用の遊歩道が整備されているので歩きやすい。飲食店やみやげ店も宿からほとんど徒歩圏内だ。登山情報は、雲仙お山の情報館で入手しよう。ひとりで不安な場合はガイドツアー(事前申込・有料)もある。2日目に雲仙の宿を出たあと、小浜温泉街を手ぶらで歩きたいなら、小浜温泉観光案内所の荷物預かりサービスを利用しよう(1回500円、9~17時)。



長崎空港からバスに揺られ、のどかな田園風景を眺めながら向かう雲仙温泉。明治期には西洋人の避暑地として栄えた歴史があり、温泉街のあちこちに異国情緒が残っている。日本初の国立公園として四季折々の自然も美しく、10月下旬から11月にかけては山肌が紅葉に染まり見物客も多い。名物の「雲仙地獄」では、湯けむりの向こうに赤く色づいた山並みが現れ、まるで絵画の中を歩いているよう。温泉街の隠れた紅葉スポット・白雲の池まで足をのばして、のんびりと散策するのも気持ちのいい時間。さらに余裕があれば、縁結びで知られる温泉(うんぜん)神社や、名物の湯せんぺい屋、雲仙焼の窯元、昔ながらの駄菓子屋など、小さな寄り道も楽しんで。そして、雲仙の魅力といえばやはり硫黄の香りがふわりと漂う“にごり湯”。肌当たりのやわらかい美人の湯に身をゆだね、紅葉を眺めながら浸かる露天風呂は格別。湯けむり越しにゆらぐ秋色の景色が、ひとり旅の時間をしっとりと、そしてやさしく彩ってくれる。

1.雲仙地獄の湯けむり/2.白雲の池の水面に映る紅葉/3.雲仙地獄の紅く色づいた遊歩道/4.雲仙福田屋の展望露天風呂からの眺め/5.雲仙地獄内のお糸地獄近くにある雲仙地獄工房で販売している名物の温泉たまご(2個200円)と温泉レモネード(300円)


1.雲仙オムハヤシ1800円。ふわとろ卵とチーズとコクのあるハヤシソースがベストマッチ/2.雲仙牛ビーフシチュー2400円/3.雲仙湯けむり塩プリン800円。湯けむりに見立てた綿飴付き。別添えの小浜温泉「塩の宝石」をかけて食べる/4..外のテラスはフリースペース。敷地の一角には源泉かけ流しの足湯もある
ぐりーんてらすうんぜん
雲仙お山の情報館のすぐ隣にある、地中海風のカジュアルで明るい雰囲気が魅力のレストランでは、本格的な洋食が楽しめる。人気メニューは雲仙牛を贅沢に使ったビーフシチューとオムハヤシ。仔牛の骨と赤ワイン、地元の香味野菜をじっくり煮込んで作る自家製フォン・ド・ヴォーがコクのあるおいしさの秘密。


1.雲仙地獄からは紅葉した雲仙の山々を眺められる/2.紅葉の時期の雲仙地獄の遊歩道
うんぜんじごく
雲仙温泉を象徴するスポットで、あたりには硫黄の香りが漂い、そこかしこから立ちのぼる蒸気と熱気がダイナミックな景色をつくり出している。大叫喚地獄やお糸地獄、清七地獄など、30以上の地獄をめぐる遊歩道は歩いて約40分。湯けむりの温もりに包まれながら、色づいた山々の景色を楽しもう。
雲仙お山の情報館バス停からすぐ
長崎県雲仙市小浜町雲仙
24時間(但し、夜間はライトアップ無し)
入場無料
なし(周辺の有料駐車場を利用、200台)


1.晴れた日は平成新山が遠望でき、水面に紅葉が映る光景は絵画のような美しさ/2.標高870mの絹笠山頂上からの景色/3.管理棟もあり、キャンプのほかパックラフト(一人乗りボート)体験やガイドツアーも人気(要予約)
しらくものいけ
約1ヘクタールの池の周りには遊歩道が整備されていて、紅葉した木々と野鳥の声に癒されながら散策ができる。また、明治時代に避暑に訪れた西洋人たちが夕日の美しさを称え「サンセットヒル」と呼んだ絹笠山(2026年2月16日まで展望台改修工事中で立ち入り不可)に続く道もあり、頂上まで30分ほどのトレッキングを楽しめる。

山小屋風の外観が可愛い雲仙温泉観光案内所や、雲仙お山の情報館周辺の紅葉は色が濃くてインスタ映え間違いなし!


1.本格サウナも併設された絶景パノラマ露天風呂「薫風の湯」(男女朝夕入替)/2.ひとり旅プランで利用するスタンダードツイン/3.じっくり味わいたいアワビの溶岩焼き/4.小地獄入口バス停前にある/5.「眼福カラダがよろこぶ健康朝ごはん」で体の中からリフレッシュ
うんぜんふくだや/やまてらすべってい
「ふるさとに帰ったときの安らぎ」をテーマに、多彩な料理と居心地のよい客室、そして温泉と大充実のおもてなしの宿。人気のひとり旅プランは、夕食にアワビの溶岩焼きやA5ランクの牛肉など贅沢な素材を味わえる「福田屋会席」、季節野菜のチーズフォンデュも人気の一品。朝は地元野菜にこだわった「眼福カラダがよろこぶ健康朝ごはん」が楽しめる。温泉は6つの湯船すべてが源泉かけ流しで、雲仙温泉のやわらかなお湯を思う存分満喫できる。
小地獄入口バス停から徒歩すぐ
長崎県雲仙市小浜町雲仙380-2
スタンダードツイン1泊2食2万6411円~(消費税込み 入湯税150円別途)
15時/11時
40台
ちょっとだけ怖い体験をしたい人におすすめなのが「雲仙地獄ナイトツアー」。ガイドから地獄のディープな話を聴きながら、暗闇の中懐中電灯の明かりを頼りに進んで行く。20時15分〜所要時間60分、1人参加、当日予約も可、600円。
【問合せ】ガイドさるふぁ 【TEL】090-4489-4487

2日目は少し早めにチェックアウトをすませ、路線バスで小浜温泉へ。途中で立ち寄りたいのは、長崎県屈指の紅葉スポット「三十路苑」。個人の敷地約8,000坪に広がる絵巻のような紅葉は、歩くだけで心が躍るフォトジェニックな景色。小浜温泉に到着したら、湯けむりが立ちのぼる海岸通りを歩き、日本一長い足湯「ほっとふっと105」へ。潮風を浴びながら足先からじんわりと温まろう。ランチは、名物の小浜ちゃんぽんを。魚介のスープが体に染みわたる。また、小浜は路地裏散策も楽しい町で、レトロな建物や史跡、こだわりの小さなお店も点在する。なかでも、細い坂道を上った先にあるショップ&喫茶「刈水庵」は、デザインにこだわった質の高い食器類や雑貨に出合える、コーヒーやハーブティーもおいしいお店。旅の締めくくりは、橘湾を一望する絶景露天風呂で。時間とともに移ろう絶景を独り占めでき、旅の最後にふさわしい贅沢なひとときを過ごせる。




1.8000坪のなだらかな敷地に無数の紅葉樹が広がる/2.竹林と紅葉のコントラストも美しい/3.水面に映る紅葉と水面に浮かぶ紅葉のコラボレーションが楽しめる
みそじえん
小浜と雲仙の中腹に位置する紅葉の名所。もともとは観光農園として始まり、約8000坪の敷地に少しずつ楓の木を植えて育てたのが始まり。例年11月中旬から12月初旬までの期間限定で開園し、昼間のあでやかな紅葉はもちろん、夜にはライトアップされ、昼とはまた違った幻想的な情景を楽しめる。


1.愛犬と一緒に足湯を楽しめるスペースもある/2.隣接の蒸し釜では好きな材料を持ち込んだり、釜の前で販売している卵や野菜などを買ってセルフサービスで蒸して食べることができる。蒸し釜最終受付は17時30分(4〜10月は18時30分)
おばまおんせんあしゆほっとふっといちまるご
小浜温泉の源泉温度105度にちなんでつくられた、全長105mの日本一長い流れる足湯。腰掛け足湯のほか底に埋め込まれた小石が足裏を刺激するウォーキング足湯などがあり、足先から体をじんわりと温めてくれる。晴れた日の夕暮れ時は正面の橘湾に沈むオレンジ色の夕日が素晴らしい。
西登山口バス停から徒歩1分
長崎県雲仙市小浜町北本町905-70
10~18時(4〜10月は〜19時)
毎月第3水曜、1月4日、5日※その他荒天時、源泉清掃日など
無料
なし(近隣の有料駐車場を利用、100台)


1.昭和を感じさせるレトロな店。2階の食事処からは海が見渡せる/2.一番人気の塩ちゃんぽん1240円
あじどころゆどころよしちょう
かつて長崎と小浜は定期航路で結ばれていて、その交流の中から生まれたのが小浜ちゃんぽん。店主の高祖父は大正時代に小浜で「松月楼」というちゃんぽん店を創業した人物。1階は日帰り温泉(食事利用で無料)、2階が食事処で、看板メニューのちゃんぽんのほか、寿司や定食、丼ものなどラインナップが豊富。


1. 2階の喫茶。特に窓際の席はひとりでも気兼ねなく過ごせるのでおすすめ/2.旅の思い出に欲しくなる素敵な雑貨や小物/3.デザートセット1000円。好きな飲み物が選べる
かりみずあん
懐かしい街並みと素朴な自然が残る刈水地区にあり、大工の棟梁の元屋敷を改装したショップ&喫茶。1階のショップでは、国内外のアーティストの作品や雑貨、小物などを販売し、2階の喫茶では、海と山をのぞむ静かな空間の中、香り豊かなコーヒーやハーブティーをゆっくりと味わうことができる。
小浜バス停から徒歩7分
長崎県雲仙市小浜町北本町1011
11〜17時
インスタグラムで確認


1.丸い形が可愛い信楽焼で作られた陶器風呂「晴天の湯」/2.木の香りと赤御影石の感触が優しい「普賢の湯」/3.1階のカフェラウンジ「ineca」では米粉を使ったシフォンケーキ(プレーン、カフェモカ、グランベリーなど、1個300円)のほか米粉の焼き菓子やパンを販売
うみべのやど つたや
橘湾に面した海辺の宿として定評があり、立ち寄り湯の利用も可能。なかでも屋上にある5つの貸切展望露天風呂からは、時間とともに移ろう橘湾の絶景を独り占めでき、贅沢なひとときを過ごせる。1階のラウンジで販売している米粉を使用したグルテンフリーのスイーツとパンも人気。
西登山口バス停からすぐ
長崎県雲仙市小浜町北本町907
12~21時(大浴場、海望貸切露天風呂)
1名利用2000円(50分)※2名以上で利用の場合は1名1000円
20台


ゴール(小浜温泉)から長崎空港までのアクセス 長崎空港までは、諫早行きのバスで約1時間、空港行きリムジンバスに乗り換え40分

今や小浜温泉の名物になっている「ORANGE GELATO」の自家製ジェラートアイス。小浜の塩ミルクなど13種類が揃う。シングル450円。海辺のお宿つたやから徒歩3分、小浜ターミナルまでは徒歩7分のところにある。
おれんじじぇらーと


雲仙温泉と小浜温泉は標高差があるので、さまざまな色合いの紅葉が楽しめるのも魅力。雲仙温泉街から車で約15分の仁田峠から運行している雲仙ロープウェイからの景色は素晴らしいけれど、紅葉の時期は混雑必至。雲仙の温泉はにごり湯、小浜は無色透明なので、それぞれの違いを堪能するのも楽しい。雲仙では色づいた紅葉を愛でながら、小浜では大海原をのぞみながらのんびりと湯に浸かれば、ひとり旅こそのリラックス感を味わえる。翌日はお肌もツルツルに! 時間があればもう1泊小浜に泊まって、名物の夕日を堪能するのもおすすめ。