食欲の秋、列車の旅に欠かせないのが駅弁です。『JTB時刻表』2024年9月号では「今食べたい駅弁」をテーマにアンケートを実施。ランキング上位に入った駅弁を読者から寄せられたエピソードとともにご紹介します。
『JTB時刻表』が前身となる『汽車時間表』の創刊から2025年で100周年を迎えることを記念し、「JTB時刻表100周年キャンペーン ~旅は続くよ、どこまでも~」を2025年3月より実施します。キャンペーンの詳細はこちらの特設サイトにて順次お知らせいたします。「るるぶ+」ではJTB時刻表100周年に向けて、バックナンバーから人気の特集をご紹介いたします。
1885年(明治18)、信越本線の高崎―横川間開通と同時に開業した老舗。1958年(昭和33)に横川駅で「峠の釜めし」を発売した。当時、横川―軽井沢間は急勾配の碓氷峠を越えるために機関車を連結する必要があり、待ち時間に買い求める人が殺到した。
益子焼の釜に、鶏肉は国産の若鶏、うずらの卵、シイタケ、栗の甘露煮など昔ながらの味が詰まっている。米はコシヒカリを使用。ごぼうは自社工場で調理人が包丁でささがきにしているそう。別添えのわさび漬けや小なす漬けといった香の物で食が進む。
1997年に長野(北陸)新幹線開業後、横川―軽井沢間は廃線となったが、横川駅改札外にはテーブルとベンチがあり、峠の釜めしをその場で食べられる。当時のにぎわいに思いをはせながら味わってみては。
【販売場所】横川駅売店、荻野屋本店、荻野屋ドライブイン、軽井沢駅ほか
特急が走っていた頃、横川駅での立ち売り風景(荻野屋提供)
山形新幹線開業に合わせて開発された駅弁で、1993年の発売以降、人気は全国区に。新杵屋は元・和菓子店だけあって甘みのあるタレが味の秘訣。山形県産米「どまんなか」を炊き上げ、その上に特製のタレで味付けした牛そぼろと牛肉煮をのせた牛丼風の弁当。牛肉はかみしめると甘辛く濃厚な旨味でごはんが進む。「みそ味」「カレー味」などもあるのでお試しあれ。
【販売場所】米沢駅、新杵屋本店(米沢駅前)、駅弁屋 祭(東京駅構内)ほか
江戸時代創業で、1908年(明治41)に国鉄富山駅構内営業人となり、1912年(明治45)に「ますのすし」を販売開始。当時の富山では「あゆずし」が主流で「ますのすし」は珍しかったが、一躍富山名物となった。笹の葉をめくると、程よく脂ののった紅色のますの身が現れる。富山県産米を使用したすし飯と一緒に食べればまろやかな味わいが楽しめる。絵は著名な画家・中川一政の作品。ますのすしは商品タイプが豊富で、定番の「ますのすし一重」のほか、おひとりさまサイズで、ランチにぴったりの「ますのすし小丸」1300円もある。
【販売場所】富山駅、新高岡駅、金沢駅ほか
4位以降もおなじみの駅弁が続々。いくつ食べたことがありますか?
東海道新幹線が開業した1964年(昭和39)に発売。鶏の唐揚げとトマト風味ライスは、誰にでも好まれる味。2023年から、ピクルスがにんじん、レッドキャベツ、ビーツのサラダに変更された。
【販売場所】東京駅、大宮駅ほか
氏家待合所がある厚岸は牡蠣の産地として有名。牡蠣等の煮汁とひじきでご飯を炊き上げ、ぷりぷりの牡蠣を盛り付けて、磯の風味豊かに仕上げている。百貨店の駅弁大会などでも人気の一品。
【販売場所】氏家待合所(厚岸駅前。10~16時、12~3月は15時まで、木曜休)ほか
1966年(昭和41)に発売開始。天日干しの身欠き鰊を使い、秘伝のタレで煮込んだ甘露煮は骨までやわらかく、箸でもほぐせる。自家製味付け数の子はコリコリした歯ごたえも楽しい。
【販売場所】函館駅、駅弁屋 祭(東京駅構内)、駅弁屋 旨囲門(大宮駅構内)ほか
1947年(昭和22)に販売開始。冷めてもおいしく食べられるようにと、炊き込みごはんに使用するスープは季節や気温・湿度により微妙に配合を変えている。米は秋田県産あきたこまちを使用している。なお、駅前の本店には駅弁ギャラリーがある。
【販売場所】ニューデイズ大館店(大館駅構内)、花善本店(大館駅前)、ニューデイズ秋田中央口店(秋田駅構内)ほか
経木の折り箱には、旨味たっぷりのかしわ肉(鶏肉)はもちろん、自社で煮出した鶏ガラスープや独自の調味料で炊き上げたごはんがぎっしり。米は九州・山口産のものを使用。
【販売場所】折尾駅ホーム4・5番線、東筑軒黒崎駅うどん店、博多大丸ほか
最近は全国の駅弁メーカーがこれまでにない個性豊かな弁当や、一度は食べてみたい豪華な弁当、駅弁をモチーフにしたグッズなどを開発・販売しています。そのなかから編集部が気になるものをピックアップして紹介!
こばやし
いくつかあるこばやしの加熱式弁当のなかで「網焼き牛たん弁当」はロングセラーの人気商品。容器に付いたひもを引けば数分で、アツアツの仙台名物牛たんを堪能できる。
淡路屋
JR貨物とのコラボにより2022年に発売開始した「コンテナ弁当」シリーズ。コンテナを模した容器は食後に小物入れとしても利用でき、貨物ファンの間でも大きな話題に。
有田テラス
有田焼の容器に地元有田のカフェが開発したカレーが入っている。駅弁でありながら冷蔵販売というのが珍しいが、有田駅の売店では温めとイートインも可能。
日光鱒鮨本舗
東武鉄道の特急「スペーシア X」をモチーフにした容器が楽しい。中身は人気の鱒寿しをアレンジした箱寿しで、刻印入りの金色シャベル型スプーンと日本刀型ナイフが付く。
大友楼
金沢の老舗料亭が作る豪華な一品。もとは寝台特急トワイライトエクスプレス(2015年廃止)の乗客向けに販売していたもので、二段の弁当箱に詰まった加賀の味覚を堪能できる。
※予約は1週間前まで、同一日に3個以上の注文があれば販売
新竹商店
ユニーク駅弁の「モー太郎弁当」で有名な松阪駅の新竹商店が、注文にあわせて特注する上質な黒毛和牛のヒレ肉を使った豪華駅弁を販売。とろけるような肉の旨味を楽しめる。
※予約は3日前まで
淡路屋
淡路屋の看板駅弁「ひっぱりだこ飯」の陶器をモチーフにしており、取っ手がたこの足になっている。ほかにも徳利やお猪口などアレンジグッズがいろいろあるので要チェック。
崎陽軒
1954年(昭和29)の発売以来、愛されてきた「シウマイ弁当」の誕生70周年を記念し、歴代の包装紙をハンカチに。2024年12月末までの期間限定販売予定。
荻野屋
「峠の釜めし」専用の蓋。パッキン付きでしっかりと閉められるので、食後の容器を小物入れなどに再利用したい時に便利だ。