ムガル帝国全盛期の16世紀に建てられた城は、赤砂岩の壁に守られた堅固な要塞。歴代皇帝の居城として知られ、贅を尽くした個性的な建物が点在する。
Agra Fort
デリーからの遷都に伴い、ムガル帝国第3代皇帝アクバルにより1565年から8年かけて建てられた城塞。堅牢な赤砂岩の城壁は高さ20m、2.5㎞にわたって続いている。広々とした城内には王族の住居や謁見の間、モスクなどが建てられ、どれも個性的なデザイン。後の皇帝たちによる建物も含まれ、色褪せることなく現存している。「アグラの赤い城」の異名でも知られる。栄華を極めたムガル帝国を知るうえで非常に重要な遺産だ(写真上)。
アグラ・フォート駅から徒歩8分、地下鉄アグラ・フォート(Dr.Ambedkar Chowk)駅から徒歩3分
Rs.650(ADAチケットRs.50含む)※金曜はRs.600
日の出~日没
なし
敷地の約80%は軍の施設なので一般開放されていないが、見学可能な建物だけでも細かい彫刻や建築などみどころ充分。城門付近は物売りや物乞いが多いので注意!
Amar Singh Gate
西側のデリー・ゲートは開放されておらず、観光客は南側のアマル・シン・ゲートから入場する。赤砂岩の門と背後にそびえる城壁は堅固な要塞という印象を与え、帝国の強大な力を誇示している。敵の進入を防いだ堅牢な三重の門(写真は二番目)。
赤砂岩の門をくぐると高い城壁がそびえ立つ。城内へと続くゲート、アクバリー門にはイスラム様式の華やかな装飾が施されているので要チェック。上部には幾何学模様の装飾が施されている(写真右)。
Jahangir’s Mahal
アクバル帝が息子のジャハンギールのために建てた宮殿。赤砂岩に白大理石の象嵌細工を施した建物は、左右のシンメトリーが美しい。内部はイスラムとヒンドゥー様式を融合させたデザインが特徴的だ。壁面に刻まれた白大理石の彫刻が美しい。
宮殿内は中庭を囲むように部屋が並ぶ。飾り棚や小窓などムガル建築の特徴に加え、壁の彫刻には中国の影響もうかがえる。
ジャハンギール帝の命によって造られた石造りの大型浴槽。可動式で、現在は宮殿の前に置かれている。
Khas Mahal
大理石でできた天井の高い列柱ホールはシャー・ジャハーン帝の居室。窓からはヤムナー河とタージマハルを望める。両側には子供たちの寝室があり、息子の部屋は大理石、娘の部屋は赤砂岩の上から漆喰を塗ってある。両側の子供部屋はインドの駕籠がモチーフ。
天井や壁を埋め尽くした象嵌細工が美しい。もともとは金を埋め込んでおり、現在は天井の一部に当時の金細工を再現している。
Musamman Burj
シャー・ジャハーン帝が愛妃ムムタズ・マハールの居室として建てた八角の塔。あまりの散財ぶりを見かねた息子のアウラングゼーブ帝によって、彼自身が幽閉されてしまった場所でもある。皇帝は1666年に74歳で亡くなるまで、7年間をここで過ごした。立ち入りはできないが外から見学できる。
愛する妻のために贅を尽くして建てられた塔は、貴石や彫刻で飾られた優雅な雰囲気(写真左)。室内には当時としては珍しい噴水も備わっている(写真右)。
Diwan-i-Khas
ムサンマン・ブルジュに隣接した白大理石の建物。貴賓接見の間として使われていた。マッチ・バワン(魚の宮殿)とよばれる庭に面しており、かつて回廊に囲まれた庭には魚が泳ぐ池があった。テラスには皇帝と妃の白、黒の台座がある。
マッチ・バワンの奥には、白大理石で造られた貴族専用のモスクが。その優美な佇まいから「宝石のモスク」とよばれる。
Diwan-i-Am
皇帝が一般市民と謁見するための間。白大理石をふんだんに使用し、イスラム様式アーチや彫刻など、派手好みのシャー・ジャハーン帝らしいデザインが目を引く。ディワニ・アームの白大理石のアーチが連なるさまは壮観。
正面奥には玉座が一段高い場所に設けられている。外からは柱に隠れて見えないように設計されている(写真左)。白大理石を贅沢に使用した豪奢な造り(写真右)。