高徳院といえば、鎌倉の名物・鎌倉大仏があるお寺。与謝野晶子が美男と詠んだ日本三大大仏のひとつを、じっくり拝みに行きましょう。
こうとくいん
奈良の大仏の復興法要に参加した源頼朝が発案し、その遺志を継いだ僧が建長4年(1252)に建立を開始したとされるが、詳細は不明。昭和33年(1958)に国宝となった銅造阿弥陀如来坐像、通称「鎌倉大仏」が本尊。もともとは大仏殿の中に鎮座していたが、天災による倒壊と再建を繰り返し、室町時代には現在のような露坐になったという。
かまくらだいぶつ
正式名称は国宝銅造阿弥陀如来坐像。高さ11.312m、鎌倉時代らしい少し猫背のシルエットが特徴で、シュッとした優し気な顔立ちは与謝野晶子が美男と詠んだことでも知られている。
大仏様のお顔をよ~く見ると、口元が優しく微笑んでいるのが分かる。16世紀、ヨーロッパからの旅行客が「東洋的微笑」と讃えたと伝わるそのお顔にも注目したい。
女流歌人。日本初の女性文芸誌『青鞜(せいとう)』の創刊号に詩を寄稿したことで知られ、歌集『みだれ髪』で有名。境内には、晶子が大仏を見て詠んだ歌碑「かまくらやみほとけなれど釈迦牟尼(しゃかむに)は美男におはす夏木立かな」がある。
たいないはいかん
大仏様の脇から、拝観別途50円で胎内へ入ることができる。一度に入れる人数に制限あり。内部へ入ると空洞になっていて、背中の途中まで階段が続く。
よさのあきこ かひ
歌人・与謝野晶子が、涼しげな顔立ちの大仏様を見て、「かまくらや御ほとけなれど 釈迦牟尼は 美男におはす 夏木立かな」と詠んだことを記念した歌碑。本当は阿弥陀如来だが訂正せず今に残る。歌碑は大仏様を通り過ぎたさらに先、境内の奥に立つ。
だいぶつでんそせき
大仏様の周囲にはかつての大仏殿の名残りである礎石が56個残されている。なお大仏殿の高さは推定40mあったといわれている。大きく平らな礎石は、今では庭石や水盤に転用されているものもある。
れんべん
大仏様の台座に並ぶ4枚の蓮弁。江戸時代の台座修復の際に装飾のために作られたとされ、元々は32枚作る予定だったが、4枚しか完成しなかったという。蓮弁とはハスの花びらのこと。大仏様の後方にあるので見逃さないようにしよう。
ほうのうおおわらぞうり
茨城県の子ども会が制作し奉納したという大仏様の大藁草履は圧巻。高さ約1.8m、重さは片足だけで約45㎏という巨大サイズだ。3年に1度、制作・寄進されている。
におうもん
高徳院の山号である「大異山(だいいざん)」の扁額が掲げられた山門。18世紀初頭に移築されたものと伝えられ、内部には一対の仁王像が立っている。高さ約7.3mの堂々たる山門。この先に券売所がある。
おりかさしょうてん
境内にあるみやげ店。大仏様をモチーフにしたユニークな雑貨や菓子が揃う。