陶芸の一大産地として知られ、昭和49年(1974)に人間国宝の故・金城次郎(きんじょうじろう)氏が那覇市壺屋から読谷村へ窯を移したことを機に発展。現在は読谷山焼、読谷山焼北窯、読谷壺屋焼の3つの流派からなり、ガラス工房1軒を含む20軒が点在。職人の手でひとつひとつ生み出される作品は、温かみを感じる素朴な風合いが魅力だ。
所要は約1時間程度。ただし工房や直売店の閉店時間が18時前後と早いので、じっくり器探しをするなら余裕をもって訪れたい。
各工房に駐車場があるので車での移動も可能。ゆるりとした里の雰囲気を楽しみたいなら入口すぐの共同駐車場に車を停め、歩いて散策してみて。
作陶の妨げになるため工房内の見学は基本的にNGだが、外から静かに見学するならOKという工房もあるので気軽に訪ねてみよう。
12月中旬に開催される陶器市を狙って訪れるのも◎。通常より安価で販売されるため、まとめ買いや友人へのおみやげにおすすめ。
1 里の中央にあり、青空に赤瓦屋根が映えるシンボル的存在
2 鮮やかな絵付けが施された器たちは見ているだけでも楽しい
3 タイミングが合えば工房の軒先などで乾燥させる光景が見られるかも
4 常秀工房の作陶風景
やちむんのさと
赤瓦屋根が並び、沖縄らしいのんびりとした空気感が魅力
松田米司
2100円
工具の刃先を用いて規則的な削り目をつける技法で作られた作品。直径16cm
與那原正守
3800円
線彫りと鮮やかなペルシャンブルーが印象的
宮城正享
2400円
青い唐草模様があしらわれたおしゃれなカップ
松田共司
1650円
飴色とオーグスヤ(青緑)の素朴な色合いから温かみを感じられる
よみたんざんやききたがまばいてん
里内の窯元で修業した宮城正享(みやぎまさたか)、與那原正守(よなはらまさもり)、松田米司(まつだよねし)、松田共司(きょうし)の4氏が1992年に開窯した読谷山焼北窯の直売店。自由な作風が魅力の與那原さんや、伝統的な作風を中心とした松田さんなどそれぞれの個性を見比べたい。
ヤチムン大城工房
4600円
リム部分に描かれた黒唐草でスッキリとした印象。直径21cm
エドメ陶房
3900円
普段使いしやすいサイズ感と、やちむんならではの色合いが魅力
ふうせんむ
「心がワクワクするやちむんを買い付ける」というオーナーの玉城(たまき)さんが厳選した陶器が揃う。直接工房へ出向いて選び抜いたマカイ(椀)やカップなど、ポップでかわいらしいやちむんに注目したい。
3300円
今まであまり取り上げられてこなかった沖縄の動植物がモチーフ。直径16cm
3300円
藤岡香奈子さんの息子・恭平(きょうへい)さん作。沖縄の特産でもあるバナナがモチーフ。直径15cm
3000円
女性ならではの目線と感性を生かしたポップな色使いがステキ
とうげいこうぼうふじ
人間国宝・故金城次郎氏を祖父に持つ、藤岡香奈子(ふじおかかなこ)さんの工房。一門の象徴である線彫りの魚紋をクジラやハイビスカスなどにアレンジした作品は、女性ならではの視点で生み出したオリジナル。女性や家族連れに人気が高い。
2640円
器全体を彩るコバルトのクジャクの絵付けが美しい。直径18cm
1760円
シックで落ち着いた色合いと使い勝手のよいサイズ。直径16cm
3850円
蓋付きのお椀。ほどよい重みとやちむん本来の風合いを感じられる
ゆくたやがま
読谷山焼の大嶺實清(おおみねじっせい)氏のもとで修業を積んだ知花實(ちばなみのる)さんの工房。陶土から敷地内にある自身の登り窯で焚く薪にまでこだわり、独自の作陶を追求。伝統技法を継承しつつ、素朴でのびやかな作風を生み出している。