7~9月にかけて開催される新潟県の柏崎、長岡、片貝で開催される花火は「越後三大花火」とよばれる。全国から多くのファンを集める人気の花火だけに、記事後半にまとめた「花火大会攻略のすすめ」を参考に、宿の手配や観覧席の入手、会場へのアクセスまで、半年前からしっかりと準備して臨もう。
いずれも夏に開催され、「海の柏崎」「川の長岡」「山の片貝」とよばれる。尺玉以上の大きさの花火が多く上がり、その迫力と華やかさは想像を絶するほど。花火に込められた想いにも注目したい。
(左)片貝まつり噍聖会の厄年満願花火/(右)ぎおん柏崎まつり 海の花火大会の海中空スターマイン
【7月末開催】海の柏崎
毎年7月24日から26日に開催される柏崎の一大イベント「ぎおん柏崎まつり」の最終日を飾る花火大会。江戸時代末期に始まったとされ、以来、柏崎の風物詩として親しまれてきた。日本海を舞台に、世界でも例を見ない打ち上げ範囲の広さが最大の魅力で、日本海の夕焼けをバックに打ち上がるスターマインを皮切りに、100分の間に約1万6000発もの花火が次々に打ち上がる。海と空の空間を存分に使ったスケールの大きい花火を満喫できる。
【開催日時】7月26日 19時30分~21時10分 【会場】新潟県柏崎市中央海岸・みなとまち海浜公園周辺 【雨天時】雨天決行。荒天時は実施可能日まで延期 【無料席】あり 【有料席】有料観覧席ペアシート1万4000円~ 4月下旬~5月上旬に申込(設定数を超えた場合は抽選) 【打ち上げ数】約1万6000発 【交通規制】あり
重さ約200kgの三尺玉が、高さ600mの上空で大輪の花を咲かせる。開花直径600mという超特大スケールで、体全体に大音響が届く。
日本海に突き出す600mの堤防をワイドに使って打ち上げられる。広範囲のロケーションを生かした柏崎ならではの迫力。
開花直径300mの尺玉100発が、幅1500mにわたって一斉に打ち上がる。その色彩と轟音に圧倒される。
【8月上旬開催】川の長岡
信濃川を舞台に2日間にわたって開催される日本屈指の花火大会。大曲、土浦とともに「日本三大花火」に数えられ、夜空を埋め尽くすほどの大型花火が次々と打ち上がる。明治時代、神社の秋祭りで打ち上げられたのが花火大会の始まりといわれており、戦争による中止を乗り越え昭和22年に復活を果たした。のちに8月2日と3日が花火大会の日とされ現在へと続いている。夜空を染める花火ひとつひとつに、長岡市民の思いが込められている。
【開催日時】8月2日、3日(2日間)19時20分~21時10分 【会場】信濃川の河川敷 【雨天時】雨天決行。荒天時は延期(振替日未定) 【無料席】なし 【有料席】有料自由席1枚2000円~ 5月下旬に一般販売抽選申込受付 【打ち上げ数】非公開 【交通規制】あり
長岡まつり大花火大会 観覧席選びのコツ
花火を鑑賞できるのは信濃川両岸の河川敷に設けられた観覧席のみで、定員1~8名のイス席やマス席が設定されている。右岸(長岡駅側)のA会場は川面に映る幻想的な花火を見られるのが特徴。駅に近いので電車利用の際におすすめ。花火が打ち上がる左岸(長岡インター側)のB会場では、より近くから迫力ある花火を楽しめる。インターから近いので車利用の際におすすめだ。また、2日と3日のプログラムの規模・内容はほとんど同じなので、どちらを選んでも満足できるはず。
大正15年に長岡で初めて打ち上げられ、長岡花火の代名詞にもなっている名物花火。直径90cm、重さ約300kgの大玉が600m上空まで打ち上げられ、直径650mもの大輪の花を咲かせる。
大河ドラマ「天地人」の放送を記念して平成20年に登場。ドラマのテーマ曲にのせて、直江兼続の生涯を壮大なスケールで描く。
平成16年に発生した中越大震災の復興への祈りと、全国から多くの支援への感謝の思いを込めて、翌年からスタート。平原綾香の歌う「Jupiter」にのせて打ち上げられる。
【9月中旬開催】山の片貝
9月の2日間にわたって開催される「片貝まつり」は浅原神社の秋の例大祭で、「花火まつり」とよばれることも。花火は個人や企業が奉納したもので、奉納主の想いが込められたコメントが放送されてから打ち上げられるのが特徴。奉納される花火の7~8割が尺玉という贅沢さで、2段打や10段内などの連発花火も多い。片貝は三尺玉発祥の地として知られ、ギネスブックにも掲載されたことがある世界最大の打ち上げ花火「正四尺玉」は、2日間ともに打ち上げられる。
【開催日時】9月第2土曜日と前日の金曜日(2024年は9月13日、14日) 19時30分~22時20分 【会場】小千谷市片貝町 浅原神社裏手 【雨天時】雨天決行。荒天時は翌日以降に順延 【無料席】なし 【有料席】桟敷席1桝(定員8名)1日券2万2000円、2日通し券3万3000円 4月~8月上旬申込受付 当日券(1人)5500円もあり 【打ち上げ数】約1万5000発(2日間合計) 【交通規制】あり
1985年に初めて成功した世界一の四尺玉。直径約120cm、重さ約420kgという超特大サイズ。1日目の22時に打ち上げ。
片貝の町民が20歳を迎えた同級会を祝って奉納する四尺玉。打上高度約800mで開花直径は約800mに及ぶ。2日目の22時に打ち上げられる。
2日目の13時~14の間には、真昼の花火が打ち上げられる。昼に打ち上げられる三尺玉は日本で唯一。
花火を確実に楽しむためには、宿や有料席の確保がおすすめ。いずれも人気の花火大会なので開催の半年前から準備を始めよう。
3つの大会のうち、宿の確保が最も難しいのが長岡。長岡のホテルの多くは、花火大会開催日の予約を抽選制にしている場合がほとんどで、受付開始時期はホテルにより異なっている。公式サイトなどで発表されるので、こまめにチェックしたい。どうしても長岡市内に宿をとれない場合は、上越新幹線沿線のホテルを確保するのもアリ。越後湯沢駅、浦佐駅、燕三条駅、新潟駅であれば片道20分以内でアクセスできる。柏崎の花火の場合は、会場から柏崎駅周辺のホテルが望ましいが、直江津駅や長岡駅までも鉄道でアクセスしやすい。片貝の花火へのアクセスの拠点は長岡駅または小千谷駅。新幹線停車駅の長岡駅周辺のホテルがおすすめだ。
上越新幹線も停車する長岡駅。片貝の花火大会へのアクセスにも便利
観覧チケットの受付時期は柏崎が4月下旬、長岡が5月下旬、片貝が4月から。柏崎と長岡は抽選制となるが、万が一はずれてしまった場合は旅行会社が主催するツアーを利用するという方法もある。また、柏崎と長岡では、花火の観覧チケットがふるさと納税の返礼品になっている。こちらもチェックしてみよう。
柏崎花火大会と観覧席。柏崎は観覧チケットが抽選制のため、早めに手配したい
車でアクセスする場合、駐車場の確保や渋滞などを考慮して早めに到着するのがおすすめ。長岡や柏崎では有料駐車場が用意されているが、事前予約できる駐車場もあるので確保しておきたい。また、花火終了後は激しい渋滞を覚悟しておこう。渋滞を避けるには最寄り駅まで新幹線などを利用し、駅から徒歩やシャトルバスで会場に向かうといい。
首都圏から越後エリアへのアクセスは上越新幹線がダントツ便利