
菜の花畑の黄色い絨毯を進むレトロな車両。房総の里山を走る小湊鉄道で、春の風景を探す旅に出かけよう。途中下車した無人駅で菜の花畑と列車の風景を撮影して、のんびりとランチを楽しむ。養老渓谷では温泉に浸かり、地元の美食に舌鼓。ゆったりとした時間と春の風景に癒やされる、ご褒美旅にさあ出発。

東京駅から小湊鉄道の起点となる五井駅まではJR総武線快速で約1時間。千葉駅からはJR内房線で15分ほど。
主要都市からの便が発着する羽田空港から五井駅まではバスが運行。所要約50分。


小湊鉄道は列車本数があまり多くないので事前のプランニングが重要。平日と休日ではダイヤが大幅に違うので、時刻表でしっかりと確認してから出かけたい。沿線のカフェや食事スポットは、週末を中心に営業しているところが多いので、平日に訪れる場合は営業日や営業時間を確認しておこう。沿線の菜の花畑は、地元の皆さんがおもてなしの気持ちで植えたもの。下車して楽しむ場合は畑の中に入り込まないように注意。また、花畑と列車の風景を撮影する場合も、民家の敷地や線路内に立ち入るなどは言語道断。周囲に気を配り、マナーを守って撮影しよう。週末に訪れるならトロッコ列車に乗車するのもおすすめ。春は満席になることが多いので、日程が決まったら早めに予約しよう。



五井駅から小湊鉄道に乗って養老渓谷を目指す。飯給(いたぶ)駅で途中下車して、周辺の菜の花畑を満喫しよう。桜の時期と重なれば、黄色とピンクの見事な風景を撮影できる。駅から歩いてすぐの「里山エスニックcafé うさぎや」では、スパイシーなエスニック料理でランチタイム。名物のベトナムプリンもぜひ試したい。花畑と車両の風景を撮るなら、時刻表で確認して早めの場所取りを。一駅隣の月崎駅には「いちはらアート×ミックス」で制作された作品「森ラジオステーション」や、世界一?大きいトイレがある。次の列車まで時間を持て余すようなら、周辺の里山風景を散歩するのも楽しい。沿線で菜の花が楽しめるのは高滝駅から養老渓谷駅にかけて。車窓の外に広がる黄色い絨毯を愛でながら、のんびりと鉄道旅を満喫しよう。

1.飯給駅の菜の花と桜、小湊鉄道。この時期だけの特別な風景 2.古民家を改装した「里山エスニックcafé うさぎや」でランチタイム 3.里山の風景に溶け込む「森ラジオステーション」は一帯がアート作品 4.スタート地点の五井駅には、かつて活躍した蒸気機関車を展示している 5.菜の花畑を走るトロッコ列車


小湊鉄道の起点となる五井駅

運賃は駅間ごとに決まっており片道運賃と往復割引運賃がある。五井駅から養老渓谷駅の場合、片道1280円、往復2250円。Suica、PasmoなどのICカードは利用できないので注意しよう。途中下車する場合は、何度でも乗り降りできる1日フリー乗車券2000円や、小湊鉄道といすみ鉄道で利用できる房総横断記念乗車券2000円がお得になる場合もある。

房総里山トロッコに乗車するなら、運賃に加えて房総里山トロッコ指定席券料金600円が別途必要。必ず予約しておこう。


1.3月下旬~4月上旬には菜の花と桜の競演も 2.駅前にある「Toilet in Nature」
いたぶえき
五井駅から28kmほどにある小さな無人駅。駅前にある女性専用トイレ「Toilet in Nature」は、2025年大阪・関西万博の「大屋根リング」を設計した世界的建築家、藤本壮介氏の設計によるもの。壁で囲まれた楕円形の広い敷地にガラス張りのボックスが立ち、「世界一大きなトイレ」として話題になった。アート作品でもあるので、男性も入口から見学できる。
JR五井駅から1時間
市原市飯給943-3


1.店の軒先を列車が走る 2.本日のランチ2000~2500円。タイのライスヌードル炒めなどのメインにサラダ・スープ・デザート・ドリンクが付く
さとやまえすにっくかふぇうさぎや
飯給駅から歩いてすぐの線路脇に立つ古民家を改装したエスニックカフェ。ランチのメインは3種類ほどから選べ、ベトナムやタイの味を楽しめる。名物デザートのベトナムの練乳を使ったプリンは、ぜひ試してみたい逸品だ。店内は犬連れOKでドッグランも備える。必ず予約してから訪れよう。


1.駅前にある「もりらじお」の看板 2.かつての詰所小屋を山に見立てたアート作品 3.屋根の上に立つひよどりのオブジェ 4.駅の周辺にも菜の花畑が広がる
つきざきえき
飯給駅から一駅、大正15年(1926)年に開業した無人駅。駅舎の脇にある「森ラジオステーション」は、2014年の芸術祭「いちはらアート×ミックス」で制作されたもので、旧保線員詰所小屋が60種以上の山野草や苔などで覆われている。トロッコ列車運行日などに内部が公開されることがある。月崎駅は「地磁気逆転」の境界が確認できる「チバニアン」の最寄り駅でもある。
小湊鉄道飯給駅から5分
市原市月崎539


木立に囲まれた有人駅。トロッコ列車が発着
ようろうけいこくえき
五井駅からは約35km、養老渓谷や養老渓谷温泉への玄関口となる有人駅。朝生原駅として開業し、昭和29年に養老渓谷駅に改称された。養老渓谷のハイライト、粟又の滝方面へのバスが発着する。駅前は以前の森に戻す「逆開発」が進行中だ。
小湊鉄道月崎駅から10分
市原市朝生原177

菜の花畑を進む小湊鉄道の写真で知られるのが、養老渓谷駅から徒歩12分ほどにある「石神菜の花畑」。地元の人たちが手入れした菜の花が咲き誇っていたが、近年は少し様相が変わってきている。食害や土壌、気温などの影響により2023年には花がほとんど咲かないという壊滅的状況を迎えた。再生に向けたプロジェクトが進行中だが2026年も楽観視できない状態という。小湊鉄道で養老渓谷駅に向かう少し手前にあるので、見事な菜の花が見られたら拍手喝采を送ろう。


1.自然に包まれた露天風呂「願いの湯」 2.別館にある和洋室 3.自家農園でとれるオーガニック野菜など、旬の素材を使った会席料理 4.「粟又ノ滝」を望む多目的ワーキングエリア滝見テラス。宿泊者は無料で利用できる
ひとうのやど たきみえん
粟又の滝からほど近い場所にある秘湯の一軒宿。自家源泉から引く露天風呂や山海の幸をふんだんに取り入れた会席料理などを、自然豊かな環境で満喫できる。ひとり旅プランは平日限定。トロッコ列車と組み合わせるなら、金曜~土曜にかけての1泊2日がおすすめ。
小湊鉄道養老渓谷駅から車で15分
夷隅郡大多喜町粟又5
平日限定ひとり旅プラン1万6590円~
IN15時/OUT10時
60台

2日目はチェックアウトギリギリまで宿でのんびりと過ごし、すぐ近くにある「粟又の滝」へ。川沿いの遊歩道は台風などの被害により通行できない状態が続いているが、滝周辺は散策可能だ。開通したらのんびりと散歩してもいい。宿から養老渓谷駅は、宿の送迎のほか小湊鉄道のバスも出ているので、好みの時間に合わせて養老渓谷駅に向かおう。帰路が週末であれば、ぜひ房総里山トロッコで。予約制なので、日程が決まったら早めに予約しておくといい。五井駅に着いたら「こみなと待合室」で帰り便までの時間調整を。オリジナルグッズも豊富なので、おみやげ探しにもぴったり。

1.房総随一ともいわれる粟又の滝 2.一度は体験したいトロッコ列車 3.鉄道ファンならずとも楽しめる「こみなと待合室」 4.粟又の滝を見下ろす「山里のジェラテリア 山猫」で自然派ジェラートを満喫 5.車両をモチーフにしたおみやげも豊富



1.道路脇の展望台から見た粟又の滝 2.滝壺に流れ落ちる粟又の滝
あわまたのたき(ようろうのたき)
養老渓谷のシンボルともいえる名瀑。全長100m、落差約30mにおよび、水量が多いときには末広がりの見事な姿を見せてくれる。滝の近くに降りる遊歩道からは、水が緩やかに流れ落ちる岩肌を見ることができる。滝つぼから下流に向かう遊歩道があるが、台風などによる土砂崩れの影響で2026年2月現在通行止め。滝周辺は散策できる。


1.千葉県産の牛乳を使ったソフトクリーム500円 2.店内からは養老渓谷を見渡せる
やまざとのじぇらてりあやまねこ
粟又の滝への下り口付近にあるイタリア仕込みのジェラートとソフトクリームの専門店。地元産の野菜や果物をたっぷりと使ったジェラートは、基本フレーバーのほか季節のフレーバーも登場。旬の味わいを楽しめる。千葉県の牛乳を使った濃厚なソフトクリームも人気だ。


休日に房総里山トロッコ号を利用するなら事前予約が必須。房総里山トロッコ号は12時58分発と14時12分発の2本が運行しており、12時58分発は上総牛久駅で乗り換えが必要。五井駅まで直通の14時12分発に乗るなら、養老渓谷周辺でランチや食事を楽しんでから養老渓谷駅に向かうといい。



1.広々とした店内はカフェとしても利用できる 2.名物の安全第一カレーは単品700円、ドリンクセット880円 3.キハ40サボ型キーホルダー各500円 4.車両をイメージしたドロップ缶500円
こみなとまちあいしつ
列車やバスの待ち時間に気軽に利用できる待合室。ドリンクや食事を提供するカフェが併設されるほか、小湊鉄道のオリジナルグッズも販売。レトロな列車グッズをおみやげに持ち帰ろう。




レトロな小湊鉄道でのひとり旅。菜の花の時期とあって、沿線を彩る黄色い絨毯に心が癒やされた。途中下車した飯給駅では、エスニックな古民家カフェや周辺の散歩を楽しみ、ひとりの時間を気ままに過ごすことができた。菜の花と列車の風景、養老渓谷の名瀑や温泉宿など、房総の里山の春を存分に堪能した思い出深い旅となった。