
ヨーロッパの中心に位置するスイスは隣国の影響を大きく受けており、伝統料理も言語圏によって大きく特徴が異なる。ひとつの国にいながら、さまざまな味わいが楽しめるのもスイスならではの醍醐味だ。


ドイツ、フランス、イタリアの3つの隣国の言語のほかに、スイスの言語であるロマンシュ語があるスイス。言語圏ごとにどのような特徴があるかを解説!

酪農王国スイスでは、搾りたての新鮮なミルクを使ったチーズ料理が全国で味わえる。特にラクレットはぜひ一度食べてみたい。
フランスと国境を接するレマン湖畔周辺の地域などでは、湖でとれた魚の料理が楽しめる。湖畔のレストランは要チェック。
山岳地域が多く、厳しい自然条件下になるこのエリアは、ジャガイモを使った料理が一般的。食べごたえのある肉料理も豊富。
ティチーノ地方では、石窯で焼くピッツァなど本格的なイタリア料理が楽しめる。北イタリアの影響を受けたオッソ・ブッコも有名。



チーズフォンデュ 12〜3月
日本でいえば鍋物のようなチーズフォンデュは冬の料理。レストランでは一年中楽しめる。
ホットワイン 12〜3月
主に赤ワインを温め、シナモンやクローブなどのスパイスと砂糖を入れて作る冬の飲み物。
タンポポ 3〜5月
春限定の食材として食べられる、花が咲く前のタンポポ。フレッシュなサラダで食べたい。
アスパラガス 4月中旬〜6月中旬
春の野菜といえばアスパラガス。白アスパラガスはしゃきしゃきとした歯ごたえが絶品。
ザウザー 9〜10月
少し発酵し始めた微炭酸のブドウジュース。収穫期にワイン生産エリアで味わえる。
ジビエ料理 9〜11月
フランス語でジビエとは、鹿や野豚、ウサギなどの野禽獣の肉のこと。秋に出回る。
キノコ 9〜11月
キノコのメインシーズンはやっぱり秋。特にポルチーニは人気が高いキノコの一つ。
焼き栗 11月下旬〜2月
焼き栗の屋台は秋から冬にかけての風物詩。天津甘栗のように甘くないが素朴な味が人気。



スイス料理の代名詞であるフォンデュ。パンにチーズを絡める一般的な食べ方のほかにも楽しみ方はいろいろ。
Fondue Fromage
グリュイエールなど2〜3種類のチーズを鍋に入れて白ワインで溶かした後、細長い鉄串でパンを刺し、溶けたチーズに絡めて食べる。レシピによって味はさまざま。

Fondue Bourguignonne
特製鍋でオイルを熱し、木串に肉を刺して油の中に入れる。揚がったら、数種類のなかから好みのソースで食べる。別名オイルフォンデュ、ミートフォンデュともいう。

Fondue Chinoise
フォンデュの新スタイル。薄くスライスした牛肉を、コンソメスープを煮立たせた鍋に入れて食べるスイス風しゃぶしゃぶ。ピクルスやマッシュルームなど付け合わせも豊富。


スイス全土
Raclette
チーズの切り口を溶かし、ゆでたジャガイモに絡めて食べる。現在は専用の電気オーブンで炙るのが一般的。付け合わせはピクルスやパールオニオンなど。


スイス全土
Malakoff
薄い衣をつけたチーズを油で揚げるスイス料理。


フランス語圏
Papet Vaudois
マッシュポテトと一緒に煮込んだ西洋ネギとタマネギの上にヴォー州名物の粗びきソーセージSaussion Vaudoisをのせて食べる。


フランス語圏
Filet de Perche
ジュネーヴなどの湖水地方で人気のメニュー。湖でとれる小さな白身魚ペルシュを、フライかムニエルにして食べる。


イタリア語圏
Polenta
トウモロコシの粉を湯またはだし汁などでじっくり煮込んで作るおかゆ。好みに合わせてチーズをふりかけて食べる。付け合わせとして出されることも。


イタリア語圏
Osso Bucco
仔牛のスネ肉を野菜やマッシュルームと一緒にトマトソースで煮込んだもの。仔牛の肉はとろけるようなやわらかさ。付け合わせのリゾットとの相性は抜群。


ドイツ語圏
Bündner Fleisch
スパイスをまぶした牛肉を空気乾燥させ、薄くスライスした料理。ヴァリス州やグラウビュンデン州などで食べられる。オードブルやワインのつまみに最適。


ドイツ語圏
Bernerplatte
ベルン地方を代表する郷土料理。豚バラ肉や牛肉、鶏肉、ソーセージなどをスープでコトコト煮込み、マスタードを付けて食べる。


ドイツ語圏
Luzerner Chugeli Pastete
ルツェルンを代表する名物メニュー。サクサクッとした大きなパイの中には、細切りの牛肉などが入った具だくさんのクリームソースがたっぷり。


ドイツ語圏
Geschnetzeltes
薄く切った仔牛の肉とマッシュルームをクリームソースで煮込んだ、女性に人気の料理。主にチューリヒ州で食べられる。付け合わせはレシュティなど。


ドイツ語圏
Capuns
小麦粉で練った生地にベーコンなどを入れ、大きな葉で巻いたグラウビュンデン州の料理。クリームソースをかけて、オーブンで焦げ目が付くまで焼き上げる。


ドイツ語圏
Pizzoccheri
グラウビュンデン州のエンガディン地方を中心に食べられる。そば粉で作ったパスタで、溶かしたチーズとよく絡めて食べる。


ドイツ語圏
Rösti
ジャガイモを細切りにし、フライパンで両側をこんがり焼いたもの。レストランによっては目玉焼をのせるところも。料理の付け合わせとして出されることが多い。


ドイツ語圏
Älplermagronen
主に山岳地方で食べられる料理。ゆでたジャガイモやマカロニにチーズを絡め、カリカリのタマネギやベーコンなどをトッピングする。


ドイツ語圏
Käseschnitte
パンの上にチーズをたっぷりのせ、オーブンで焼き上げたスイス風チーズトースト。ボリューム満点で、山岳地方のポピュラーメニュー。