『源氏物語』の舞台は、京の都と宇治が中心だが、湖国・近江は、作者である紫式部がお参りに訪れ物語の着想を得たと伝わる重要な場所。ゆかりの地を訪ね、平安の雅にふれてみよう。
びわ湖に映る月を眺め『源氏物語』を起筆
いしやまでら
平安時代、京都の清水寺、奈良の長谷寺と並んで「三観音」として信仰を集めたのが、近江の石山寺。一条天皇の中宮(皇后)彰子から読んだことのない珍しい物語を、と頼まれた紫式部は、祈願のため石山寺を訪れて7日間参詣。びわ湖に映る月を眺めて物語の情景がひらめき、物語を綴り始めたと伝わる。紫式部ゆかりの歌を綴った、紫式部開運おみくじ200円。安産のお守りにもなる「犬吉みくじ」は全4色で各600円。
げんじのま
紫式部が『源氏物語』を起筆したと伝わる部屋。現在、有職人形司による紫式部の御所人形が置かれている。
けいかいせき
岩の上に観音様を祀ってお堂を建てたのが、石山寺のはじまりで、名の由来。大きな石が沸き立つようにそびえ、迫力満点。
ほんどう
滋賀県最古の木造建築であり、国宝。本尊の勅封秘仏・如意輪観世音菩薩は、安産・福徳・縁結び・厄除けなどのご利益を授けてくれるという。
つきみてい
紫式部が舟で下った瀬田川やびわ湖を一望できるスポット。近江八景「石山の秋月」を象徴する場所。
おおつしたいがどらま「ひかるきみへ」かつようすいしんきょうぎかい
大津市石山寺1-1-1
(運営センター)
京阪石山寺駅から徒歩10分
大人600円、石山寺セット券1000円
9時30分~17時(最終入場16時30分)
期間中原則無休 ※7/17は休館
140台(石山寺駐車場を利用) ※展示の内容は変更になる可能性があります
現代の感性を通して平安文化を身近に
げんじものがたり こいするもののあはれてん
「恋」をテーマに、平安時代と現代をリンクさせた体験型展示。平安時代の恋に欠かせない、色・香り・花の世界に触れられるコーナーもあり、『源氏物語』が表現する「もののあはれ(しみじみとした趣深い感情を表す言葉)」を体感できる。
衣装やパネル展示でドラマの世界に浸る
ひかるきみへ びわこおおつ たいがドラマかん
主人公がドラマの中で身につけた衣装を中心に、登場人物や撮影の舞台裏を伝えるパネル展示、小道具展示などが見られる。4Kシアターの映像は、大津でしか見ることができないもので、必見。
紫式部の父・叔父・異母兄弟や藤原道長と縁深い古刹
そうほんざん みいでら
天台寺門宗の総本山であり、平安時代、朝廷や貴族から崇められた。金堂(国宝)には、藤原道長が奉納したと伝わる弥勒菩薩を祀る。紫式部の叔父と異母兄弟が僧侶を務め、父の藤原為時はこの寺で出家した。
かんのんどう
西国三十三所観音霊場の第14番札所。本尊の秘仏・如意輪観音を祀る。
みいのばんしょう
近江八景のひとつとして名高い、三井の晩鐘。実際に撞いて音色を聴ける。
いしやまでらぶっさんかん ムラサキ
かのう しょうじゅあん いしやまでらてん
2024年1月23日から約3年間、JR東海道本線・山陽本線の米原駅~上郡駅間を運行。時刻は非公表なので、乗車できれば運気が上がりそう!?外装のほか、組紐を使った御簾のカーテンなど、車内にも注目。