標高700m、北アルプスの山々を見渡す高原地帯の桔梗ヶ原は、ワイン通ならぜひ訪れたい場所。国内だけでなく欧州のワインコンクールでも数多くの賞を受賞するワイナリーが点在する。試飲やショッピングを満喫したら、ひと足延ばして奈良井宿へ。江戸情緒が色濃く残る景色の中を散策しよう。
●中央自動車道塩尻ICからJR塩尻駅(市街地)までは国道20号・国道19号・県道292号経由で約4km。塩尻ICから奈良井宿までは国道20号・国道19号経由で約25km。
●公共交通機関利用の場合、名古屋駅から塩尻駅まではJR中央本線特急しなので約2時間。塩尻駅から奈良井駅まではJR中央本線で約22分。
●ワイナリーで試飲を楽しむなら車移動は厳禁。また、宿場町内では地元車以外の通行は自粛しよう。
松本盆地の南部、塩尻市を流れる奈良井川とその支流の田川に挟まれた標高700mの桔梗ヶ原は、西に北アルプスの山々を見渡すすがすがしい高原地帯。ワイン通ならぜひ訪れたい場所だ。明治時代から開拓が進められ、ワイン用のブドウに適した土壌を確保。現在では長野県産ワインの約8割を産出しているという。
土壌だけでなく、桔梗ヶ原は、日照時間が長く、夏の昼夜の気温差が大きいなど、ブドウに適した気候が特徴。そのうえ、100年以上に渡る生産者たちの努力の結果、高品質のブドウが収穫されることも大きな強みだ。個性豊かなブドウ品種と良好な土壌と気候があいまって、生み出されるのは、果実味が豊富で酸味もしっかりしたバランスのよいワイン。
信濃ワイン、井筒ワイン、五一わいんなど、ワイナリーごとに異なるオリジナリティあふれる味わいは、国内だけでなく欧州各国のワインコンクールでも数多くの賞を受賞している。
ぜひ参加したいのが、例年5月に開催される、塩尻ワイナリーフェスタだ。参加費を払うともらえるオリジナル漆のワイングラスを片手に、市内のメイン会場で試飲やショッピングを楽しむお祭りだ。
ワインを満喫したら、ひと足延ばして奈良井宿へ。ここは江戸時代に江戸と京の都を結んだ木曽路中山道六十九次の一つ。江戸情緒が色濃く残る約1㎞の街道沿いを散策したら、宿場近くの木曽の大橋も忘れずに。奈良井川に架かる総檜造りの太鼓橋で、橋脚のない橋の姿がこの上なく美しい。
1.北アルプスを望む、標高700mの桔梗ヶ原に位置。日本独特の栽培方法である棚仕立てと本場ヨーロッパの垣根仕立て、2つのブドウ園が広がる/2.NACメルロー(赤)720㎖ 1722円。長野県原産地呼称認定ワインで、ふくよかな果実味とやわらかい飲み口が特徴/3.酸化防止剤無添加ワイン コンコード赤甘口720㎖ 1454円。地元のブドウのみで醸造したフレッシュでフルーティーな味わい
日本で初めて無添加ワインを醸造
いづつわいん
昭和8年(1933)の創業で、日本で初めて無添加のワインを醸造したことで知られるワイナリー。ブドウ畑に囲まれた三角屋根の建物には、地下貯蔵庫やショップが備わる。ショップでは多彩なワインを購入でき、店舗限定商品もある。
駅前のメイン会場では塩尻の特産品やワイングッズも販売される。写真は2022年度のメイン会場となった平出遺跡公園※2025年度の会場は未定
しおじりわいなりーふぇすた
例年5月の土・日曜に2日間開催される、塩尻産ワインの試飲イベント。市内のメイン会場で塩尻のワイナリーが製造するワインの試飲や販売が行われる。
2025年度は開催含めすべて未定、詳細はHPで確認を。
1.地下貯蔵庫には職人が手間ひまかけて仕込むワイン樽がずらり。瓶内二次発酵の様子も間近で見学できる/2.広大な自社農園ではメルローをはじめ、シャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨン、ナイアガラ・コンコードなどを栽培※見学は要予約/3.信濃スパークリング(白)720㎖ 2797円。塩尻産ナイアガラを使用し、本格的な瓶内二次発酵で造られたさわやかな辛口/4.スーパーデラックスメルロー(赤)720㎖ 2500円。丹精込めて栽培された塩尻産メルローの果実感ある味わいが根強い人気
国内外で高い評価を受ける上質ワイン
しなのわいん
高品質なワイン造りに定評があり、自社農園と契約農家のブドウを使ったワインは国内外で数多くの賞を獲得。クラシック音楽が流れる地下貯蔵庫の見学やワイン3種類の試飲が無料で楽しめるほか、高級ワインの有料試飲も可能。
1.ワイナリーは歴史を感じさせるたたずまい。売店では20種類ほどのワインを試飲することができる/2.丁寧に栽培されたブドウを使用したワインに定評がある/3.自社農園のブドウを使用した「エステートゴイチ」のメルロ720㎖ 3080円。肉料理との相性抜群/4.エステートゴイチのシャルドネ(白)720㎖ 2420円は、コクのある辛口白ワイン。赤とセットで贈り物にも◎
ブドウの栽培にこだわる老舗ワイナリー
ごいちわいん
明治44年(1911)の創業で、現存するワイナリーでは長野県内最古。創業者・林五一の意思を受け継ぎ、ブドウの栽培から醸造までを一貫。12万㎡の自社農園では、垣根やハヤシスマートという栽培方式などを取り入れ、多彩な品種を真心込めて育てている。
1.ディナーコース3600円〜。写真は魚料理のイメージ/2.ワインの種類は多彩。城戸ワイナリーのワインなど希少なワインが味わえることも
地元の新鮮野菜で作るこだわりのイタリアン
いたりありょうり あるせーば
南欧の農家をイメージしたレストラン。地元産の野菜をはじめ豚肉や信州牛など、信州素材で作るイタリアンが好評だ。パスタランチ1580円〜。塩尻ワインは40種ほど揃い、フルボトル4600円~。
1.木曽路十一宿のなかで最も標高の高い宿場町。建物は、2階が1階より45㎝ほど前にせり出した「出梁造」が特徴/2.木曽の大橋は、橋脚を持たない木製の橋として日本有数の大きさを誇る。道の駅に隣接し、駐車場やトイレも備わる
ひと足延ばして木曽路最大規模の宿場へ
ならいじゅく
塩尻ICから南へ約25㎞、かつて「奈良井千軒」と称された旧中山道34番目の宿場町。現在も約1㎞に渡って200余りの建造物が立ち並び、江戸時代の面影が感じられる。散策のスタートは宿場の玄関口に架けられた総檜造り「木曽の大橋」から。