「富岡製糸場と絹産業遺産群」として世界遺産に登録され、繰糸所など3棟が国宝でもある富岡製糸場。登録の経緯や歴史、みどころなどを詳しくご紹介。
とみおかせいしじょう
日本初の官営製糸工場で、平成26年(2014)に「富岡製糸場と絹産業遺産群」としてユネスコの世界文化遺産に登録。さらに製糸場内にある2つの繭倉庫と繰糸所が国宝に指定された。
A 一大国家プロジェクトとして創設され、明治5年(1872)に操業を開始。工女とよばれる女性たちは地元へ戻り先進的な就業形態で迎えられ、技術習得後は指導者として活躍した。明治26年(1893)に民間企業に払い下げられた後も、昭和62年(1987)まで生産を続けた。
A 明治維新から昭和にかけて、日本の近代化を支えた製糸産業。日本の技術革新によって生糸の生産量が増え、世界の絹の大衆化につながった。近代製糸業発展の原点ともいえる施設であり、建造物などが状態よく保存されていることも登録の決め手だった。
ガイドツアーでは、製糸場の歴史や建築に関する解説を聞きながら、主要スポットを巡る。料金200円。音声ガイドは専用アプリで聞ける(無料)。
【開催時間】9時30分~15時30分の間で、1時間おきに出発(お昼を除く)。土・日曜、祝日は30分おき。約40分(天候により変更あり)。各回上限30名
【ガイドツアー券売所・集合場所】東置繭所内
にしおきまゆじょ
富岡製糸場の主要な建物の一つで国宝にも指定された建物。繭倉庫であった2階が見学でき、ギャラリーや多目的ホールもある。
そうしじょ
中央に柱のない広い空間をつくり出すために、小屋組にトラス構造を採用。電灯がない時代に造られたため、ガラス窓が大きく外光を採り入れやすくしている。当時としては世界最大級の生産規模を誇った。
創業当初に導入されたフランス式繰糸器(復元機)で実演。細やかで難しい作業だったことがわかる。
【開催時間】平日10時~11時30分、14時~15時30分(変更、休止の場合あり)
【開催場所】繰糸所内
ひがしおきまゆじょ
中央にアーチ型の通路のある巨大な繭倉庫は、木で骨組みを造り、壁は煉瓦積みの木骨煉瓦造。煉瓦の積み方は長い面と短い面が交互に置かれる珍しいフランス積みの壁。1階は主に作業場、2階は繭の貯蔵庫として使われた。
しんりょうじょ
明治8年(1875)まではフランス人医師が常駐して治療にあたり、官営期は医療費は工場側で全額負担していた。現在の建物は昭和15年(1940)に建てられた3代目。※見学は外観のみ
けんさにんかん
明治6年(1873)にフランス人男性技術者の住居として建てられた。木骨煉瓦造りの2階建てで、2階には貴賓室が残っている。※見学は外観のみ
じょこうかん
明治6年(1873)建築。器械製糸技術を伝えるために来日した4人のフランス人女性教師の宿舎として建てられたが、その後は1階を食堂、2階を会議室などとして使用。※見学は外観のみ
しゅちょうかん(ぶりゅなかん)
建坪約240坪の木骨煉瓦造りのコロニアル様式の宿舎。食糧庫と考えられる煉瓦造りの地下室が残る。ブリュナが去った後は、宿舎や、女性従業員の教育の場として利用された。※見学は外観のみ
横浜の商館で生糸の検査人をしていたが、製糸に関する知識を見込まれ、明治政府に雇用された指導者である。製糸場設立から携わり、フランス人の技術者の雇い入れや、日本の風土、日本人の体格に合った製糸機械の輸入などに尽力した。
きゅうにらづかせいしじょう
韮塚直次郎氏が創立した器械製糸場で、富岡製糸場を模範として建てられた明治初期の民間製糸場のなかで、遺構を含めて唯一建物が現存している。旧韮塚製糸場の紹介や観光案内コーナー、休憩所やトイレ、富岡製糸場の見学券販売所などがある。
ぐんまけんりつせかいいさんせんたー「せかいと」
世界遺産「富岡製糸場と絹産業遺産群」を当時の様子を再現したシアターや映像展示でわかりやすく解説する施設。