島津のお殿様が愛した風光明媚な庭園の周りには、近代日本をリードした産業遺産が点在。必見スポットが多数あるので、たっぷり時間をかけてまわろう。
仙巌園前に新しい駅が誕生! 鹿児島中央駅まで10分程度で行けるように
めいしょう せんがんえん
万治元年(1658)に島津家19代光久が構えた別邸。大名庭園は1万5000坪もの広さで、集成館事業の遺産や御殿など島津家の歴史を伝える史跡が多数残る。昭和33年(1958)に国の名勝に指定、平成27年(2015)には仙巌園を含む「旧集成館」が「明治日本の産業革命遺産」として世界文化遺産に登録された。
JR鹿児島中央駅から車で20分/鹿児島中央駅からカゴシマシティビューで50分、仙巌園(磯庭園)前下車、すぐ/2025年3月15日に「仙巌園駅」開業予定
鹿児島市吉野町9700-1
入場1600円(御殿・尚古集成館と共通)
9~17時
3月第1日曜
100台(500円)
①集成館事業を行い、西郷隆盛を見いだした名君
島津家28代。海外に精通しオランダの書物を参考に反射炉を完成させた。西欧諸国のアジア植民地化への危機感から、幕末期に紡績、造船といった集成館事業を行う。先見の明があり、西郷隆盛を抜擢するなど、人材登用にも長けていた。
②幕末の富国強兵事業で築かれた工場地帯
島津斉彬が取り組んだ紡績、造船などを「集成館事業」とし、現在の鹿児島市磯エリアで推進。この事業に関わる産業遺産群を「旧集成館」という。
③平成27年(2015)世界遺産に登録された23の資産群
幕末に製鉄、製鋼、造船、石炭産業など、のちの日本経済を支える産業が短期間で発展。その歴史を伝える8県の資産群で、鹿児島では「旧集成館(反射炉跡、旧集成館機械工場、旧鹿児島紡績所技師館を含む)」、「関水の疎水溝」、「寺山炭窯跡」が登録されている。
かごしま せかいぶんかいさんおりえんてーしょんせんたー
集成館事業や世界遺産について学べる。当時の反射炉の姿を模型で再現。
はんしゃろあと
鉄を溶かす炉の遺構。今は石組みの基礎のみ残る。
せいもん
明治28年(1895)に造られた門。木材には鹿児島県の県木である楠を使用している。門上部には島津家の家紋が。
すずもん
御殿の入口に立つ。当時は薩摩藩藩主とその世継ぎだけが通ることができた。鮮やかな朱色が目を引く。※「錫門」は2025年秋まで工事中のため見学できません。
ごてんまえにわ(しゃっけい)
仙巌園を代表する景観を見られるポイント。桜島や錦江湾を借景とした雄大な風景を望む。歴代の島津家当主が愛したといわれる景色
約1万5000本の菊が庭園を彩るイベント。例年11月に開催。
国指定名勝の壮大な大名庭園で、目の前には桜島を望む。
ごてん
別邸として建てられたのち、島津家29代忠義の代には一時本邸として、幕末~明治には国内外の要人を招く迎賓館としても使用された。明治17年(1884)に改築され、今は当時の3分の1が残る。御殿内は見学可。お殿様の部屋は貴重な節なしの屋久杉で造られている。
スタッフが御殿を案内するツアーもある。1日5回開催、定員20名(1回)、所要約30分。
※実施状況は HPで確認を
おいま
御居間は書類の決裁を行ったり昼食をとったりと、忠義が一日の大半を過ごした場所。目の前に桜島が広がりロケーション抜群で、撮影もできる。御居間からは獅子乗大石灯籠など庭園のみどころも見える。
なかにわ
室内だけでなく中庭も風情があり見ごたえ十分。池の中にある八角形のくぼみ(凹)は、中国文化(風水)の影響を受けているものだとか。「八卦」を取り入れた中庭はパワースポットとしても人気。
えっけんのま
明治24年(1891)に来日したロシアのニコライ2世など、海外の要人をもてなした部屋。シャンデリアは園内の水力発電用ダムによる自家発電で点灯していた。
くぎかくし
大きな釘の頭を見せないための化粧金具。お茶の実やコウモリのほか、薩摩焼で作られた桜島大根や金の巾着などのユニークな形も!
日本の近代化をリードした、薩摩の知恵と力に注目!
はんしゃろあと
島津斉彬が造らせた、大砲製造に必要な鉄を溶かす炉の跡。耐火レンガには薩摩焼の技法、周りを囲む石組みには城郭の石組み技術を応用し、湿気が入らない工夫も施された。
かごしま せかいぶんかいさんおりえんてーしょんせんたー
反射炉跡近くにあり、みどころは1/10サイズに再現された反射炉模型。基礎部分のみ残る反射炉跡と、窓越しに見比べられるよう配置されていて、当時の様子をリアルにイメージできる。反射炉の仕組みをCGで解説した映像展示もある。反射炉の復元模型の展示もしている。
つるどうろう
安政4年(1857)、島津斉彬がガス灯の実験を行い、その点灯に成功。そのときに使われたのがこの灯籠。鶴が羽を広げたように見えることが名前の由来。
すいりょくはつでんようだむあと
明治時代に水の落差で発生するエネルギーを利用して発電を行い、その電気を御殿の照明などに利用していた。29代忠義が造らせた。
パワースポットの宝庫でもある仙巌園。しっかりお参りして幸運を!
①ひっそりとたたずむご利益スポット
②丸に十の字の島津家の御紋があしらわれた御守(大900円、小500円)
おにわじんじゃ
大正7年(1918)に島津家ゆかりの13の神社を集めて祀った神社。開運、縁結び、家内安全などにご利益がある。
①丸木の鳥居の先に、小さな石碑が鎮座する
②猫神社近くの売店では絵馬1200円を販売
ねこがみしゃ
慶長の役に出陣した際、瞳孔の開き具合で時刻を知るため島津家17代義弘が連れて行った7匹の猫のうち、帰還した2匹を祀る。毎年2月22日には愛猫長寿祈願祭も開催(予約制)。
①仙巌園の入口横にある神社
②美人御守600円
つるがねじんじゃ
仙巌園に隣接し、島津家歴代の当主や家族を祀る。身も心も美しかったと伝わる亀寿姫(かめじゅひめ・持明院様)も祀られ、参拝すると「美人になれる」とか。